【  冨沢カオル ポエム作品  】

※ 詩集 ※『そね ーのん てぃとぅる』 より

どんな広い海も
たった一雫の水滴からできています
どんな人の心も
たったひとかけらの想いからできています

力が 満ち満ちている
光に 大気に 大地に
枝を広げ 根を張った樹々の幹に触れる度
それを感じる

陽射しのきらめきを呼吸して
東風のそよぎを見つめて
揺るぎない大地に足をつけて立っている
“ わたし ”  という名の 自然

陽射しが心に影を落とす日も有れば
明るくて優しい雨の日も有る
変わらないのは
ぼくが ここに居るという事だけ
それで十分だと ぼくは思う

今は 雨にうたれていよう
ぼくを抱きしめてすすり泣く雨が
明るい雲の彼方へ去って行くまでは
沈みきった心の芯まで濡らして
そぼ降る雨は 天からの贈物
やがて雲が切れる その時に
ぼくの中で 虹が光を放つだろう

吹く風に乗せて
心を空へ放り上げます

そこに居た時と
ここに居る時が有る
これから知るのは
何処かに居るだろう時
遠い未来に繋がる 点と線の間に
もう一つ 可能性を見つけよう

それは ごく容易なことなのだと
ふと気づいた
もしも言葉を綴るなら
(If  I  spell  words)
わたしは魔法使いになれるのだと
ペンを杖に変えて
どんな場合にも
“ 正しいタイミングと正しい言葉 ”が必要なだけ

心のどこかで
ゆっくりと時を掛けて熟成されていく想い
喜びや悲しみをのみこみ
ろ過されて残ったそれは
誰かの心に触れた時
香気を放って溢れ出す

いつか この世を去る時は 誰でも
たった一人になるけれど
見送る人さえ無く旅立つのが見えているなら
ただ 胸を張って生きていこうと思う