2019/11/23
牛島の藤の香りに包まれて令和の年の幸せ祈る その樹齢四百年とぞ大藤の揺るる花房ただに見上げつ 蜜蜂は花粉に足を太くして忙しく飛べり藤のあはひを 亡夫祀る明箸堂の奥の扉の今し開かれ居合せる幸 十五年幾度参りしか初めての開きし扉に胸熱くなる 快晴の大谷本廟明箸堂すがしき風の吾を包みぬ 元旦もラジオ体操休まずに三日月明星眺めて行きぬ...
2019/11/18
【 春 】 初風呂や乳房ゆたかに母卒寿 抜けきらぬ刺にこだはり薺粥 梅一輪母の長寿にあやからむ ポケットに鉛筆のあるぬくみかな 耕しの草に染まりし爪を切る 虎杖を噛み晩学をたのしめる ふくろうの雛のぬくみを手につつむ 行く春の束ねし紙の重さかな 菜の花をグラスに挿して今日若し 厨より母の鼻唄桃咲けり 【 夏 】 父憶ふ雲一片の涼しさに...
2019/11/18
※ 詩集 ※『そね ーのん てぃとぅる』 より どんな広い海も たった一雫の水滴からできています どんな人の心も たったひとかけらの想いからできています 力が 満ち満ちている 光に 大気に 大地に 枝を広げ 根を張った樹々の幹に触れる度 それを感じる 陽射しのきらめきを呼吸して 東風のそよぎを見つめて 揺るぎない大地に足をつけて立っている “ わたし...
2019/09/14
牡丹や散華のあとを寂と立つ 高原の桔梗の藍は露がおく 闇汁のこんにやく下駄に仕立てたる 暦売り耳かきなどもなべ売る 秋出水流るる牛の無表情 白糸の滝の不動を遠拝み 衣被昔語りを聞きながら 麩まんぢゆう心づくしの紅葉敷く 苗売りの早口なりしよく売るる 嗄れし声なほ張り上げて御輿もむ メロン盛るカットグラスの翳りかな 初秋や大利根川の夕景色...